5年生の国語科に「すいせんします(光村)」という「話すこと・聞くこと」の単元がある。自分がよいと思う事物や人を他の人に薦めるという活動である。
この単元を進めようとした時考えるのは「どんなものやこと、ひとを推薦するのだろう」という予想である。このことを考えた時、難しいと思った。それは、
- 薦めたいものやこと、ひとがない
- そもそも薦めたいという必要感がない
- 実生活との繋がりがもたせづらい
ということがあるからだ。このまま、進めてしまうと、おそらく形式的に終わってしまい、本当の意味での「話すこと・聞くこと」の学習にならないと思った。そこで考えたのが、
ビブリオバトル
である。詳しくは公式サイトを見てほしい。クラスの子どもたちは、読書が好きである。また、月に1回程度地域の方が行ってくれる読み聞かせも大好きだ。「読書」に関してならクラス全体に共有できると考えたのだ。また、自分の好きな本をみんなに薦めるということが、この単元の学習に合っているともいえる。
しかし「ビブリオバトルをやろう」とは言いたくない。できるだけ子どもたちから「やりたい」という思いを引き出したい。そこで「朝の会」などで何となしに「ビブリオバトル」について紹介する。また「都立多摩図書館作成」の「やってみよう☆書評合戦(ビブリオバトル)」を掲示しておいた。
すると、案の定子どもたちから「やってみたい」という声があがる。それならばと、やることになったのである。少々強引な手を使ったが、子どもたちに「やりたい」という思いを高めるとともに、やる「必要感」を見いだすことができたと思う。
実際にやってみるとおもしろい。「本好きの彼らだからこそ」できたと思うが、時間が足りなくなる子どもも多い。また、その後の質問タイムでは、話し合いが活発だった。
しかし、全員ができたかというと、難しい。本好きのクラスといっても、差があったり、一部の子どもはそこまで達していなかったりだ。
それでも新たな可能性を感じることができた。指導書通りにやるのはやはり無理がある。子どもの実態や願いと教師のねらいを照らし合わせようとすると、アイデアが浮かんでくるものだ。